江戸の川柳には面白いものが沢山ありますが、今日のチョイスは

これです。

 

「品川の客 にんべんあるとなし」

 

にんべん(人偏)あるのは侍、にんべんなしは寺。

品川(遊郭)のお客には侍と僧侶が多いという川柳です。

 

品川はご存知東海道の宿場町で往時180軒を超える妓楼が並んでいました。

品川辺りには、大藩の薩摩藩が芝、高輪、田町に藩邸を持ち、また多くの

藩の下屋敷も点在していました。

また当時の東海道筋に当たる芝の増上寺とその支院が密集していたため、

侍と僧侶が品川妓楼の上顧客となっていたようです。

 

最も品川は宿場町とはいえ江戸はもう目と鼻の先、宿泊目的ではなく、

旅立つ友人を見送りがてら遊郭で遊ぶ江戸人の記録も多く残っています。

 

幕末、高杉晋作や久坂玄瑞など著名な長州の志士たちがよく利用したと

言われる土蔵相模もこの品川宿にあります。

 

江戸後期に来日した植物学者シーボルトは1826年オランダ商館長に随行

しますが、その際品川宿で立派な身なりの侍が遊郭から‘ごく自然に’

出てくるところを目撃、江戸参府旅行記で品川遊郭について以下のように

記しています。

 

「このような施設は料理屋と同様に、日本では生活に欠かせぬものと

されているようだ。真昼間に遊郭から出てくるのは、我々の国で言えば

喫茶店から出てくるのと同様に、問題にならないようだ」

 

うーん、江戸は遠いのか近いのか!?