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山中鹿介幸盛 ー 願わくば、我に七難八苦を与えたまえ [戦国]

「その百折不撓(ひゃくせつふとう)の精神の強靭さは、

驚嘆すべきものがある。日本歴史上おそらく類がないであろう。」

 

海音寺潮五郎氏著の「武将列伝―山中鹿之介」に鹿介を評してこう

記されています。

 

山中鹿介幸盛の主家、尼子氏は経久の代に山陰地方を席巻、近隣の諸国

打ち従え、天文初年(1532年)には11か国の国人を従える大大名家

となる。

その後、経久の子晴久が跡目相続をしたころより安芸の毛利元就に

圧迫され、尼子氏は次第に衰運に向かう。

そして晴久の嫡子義久の代、尼子氏は永禄9年(1566年)にその本拠、

富田城が毛利軍の猛攻を受け陥落、戦国大名としての尼子氏は滅亡した。

 

山中鹿介は富田城の奪回のためひそかに同志を募る。

尼子の血筋を継ぐ勝久を擁して、尼子氏再興のため立ち上がった。

 

一時は出雲地方をほぼ手中とするほどの勢いを得るが、毛利軍との

決戦に敗れ、勝久と共に毛利氏の捕虜となる。

その後逃亡し、再び一時的に尼子の復興に成功するが、

再び毛利に敗れ落ち延びる。

 

鹿介は幾度となく苦境に陥るが、尼子再興に死力を尽くす。

幾度敗れても、尼子再興をかけて立つ。

 

織田信長に援助を願い、天正5年(1577年)秀吉の中国遠征が始まると、

その先鋒隊となって、勝久とともに播磨の上月城に入城し

再度尼子氏復興を目指す。

 

上月城を得て鹿介ら尼子軍は再び勢いを戻すが、織田方にあった三木城

の別所長治が離反すると、信長は秀吉に陣を払い三木城攻めに

向かうよう命じる。

 

毛利の大軍に囲まれ孤立無援となった上月城は落城。

勝久は自害してこの世を去り、捕虜となった鹿介もついに謀殺される。

 

尼子家再興の道は絶たれる。

 

芳年武者絵山中鹿之助 .png 

 芳年武者絵 山中鹿之助

 

「願わくは、我に七難八苦を与えたまえ」

尼子の再興を決意した鹿介が三日月に祈ったとされる逸話が有名です。

 

鹿介は16歳の時に病弱な兄に代わり家督を継ぐが、この時に

代々山中家に伝わる三日月の前立てと鹿の角の脇立のついた

冑(かぶと)を譲り受け、名を基次郎より鹿介に改めます。

 

名を改めた鹿介が月に向かい、

「願わくは三十日のうちによき敵に会わせたまえ、これを討って

武名を上げたいと願う」

と祈る逸話も伝えられている。

 

鹿介は江戸・幕末にかけて、主家の再興にその生涯を捧げた忠臣として

その名が喧伝され、頼山陽や勝海舟にも高く評価されます。

 

また昭和12年には、小学校の国語教科書に‘山中鹿之助’を主人公

とした「三日月の影」が登場しその名は全国的に知られるところと

なったようです。

 

鹿介が三日月に主家再興を祈るイメージがいつ定着したのか

定かではありません。

 

ただ古来霊力の宿るとされる三日月に祈る鹿介の姿は、

確かに尼子の復興に執念をかけたその生涯を表象しているよう

思われます。

 

 

お読み下さり有難うございます。

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掲載されます。


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コメント 8

ys_oota

このような武将がいたのですね。初めて知りました。大河ドラマにしたら面白そう。。。
by ys_oota (2014-04-04 01:04) 

風来鶏

満月は次の夜から欠けて(衰退して)いくイメージがありますが、三日月は日を重ねる毎に満ちて(再興して)いくイメージがありますね^^
by 風来鶏 (2014-04-04 10:23) 

hanamura

Sazabyさんの若桜鬼ヶ城へのコメントからのリンクでなかった?
山中鹿介かっこいいですよね!三日月は絵になります。
by hanamura (2014-04-06 09:25) 

ミスター仙台

アナログ侍 さん

訪問&nice!有り難う御座いました。
by ミスター仙台 (2014-04-07 19:34) 

アナログ侍

ys_oota さん
コメント有難うございます。
かなりの高齢の方にはとても有名な武将なのですが、戦後は戦前の教育への反動から露出度?が減ってしまったようです。
by アナログ侍 (2014-05-01 21:52) 

アナログ侍

風来鶏さん
コメント有難うございます。
なるほどなるほどとても興味深いご意見です!
by アナログ侍 (2014-05-01 21:54) 

アナログ侍

hanamaruさん
コメント有難うございます。
はい、カッコイイです!あのふなっしーが尊敬している武将みたいですよ。
by アナログ侍 (2014-05-01 21:56) 

アナログ侍

ミスター仙台さん
こちらこそコメントを頂戴しまして有難うございます。
by アナログ侍 (2014-05-01 21:58) 

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