新撰組の稽古と斬り合う侍 [幕末 江戸]
新撰組の近藤勇は数えで28歳の時に天然理心流4代目を襲名、
天然理心流試衛館の若き道場主となった。
近藤勇は道場に通う門人たちにたいし、「剣とは技よりも気組みである」
と常々教えたそうです。
「剣の勝負は気合のおしあいで決する。」
まさに実戦の剣に優れた新撰組の局長に相応しい言葉でしょう。
同じく新撰組の土方歳三も「斬りあいは腕でやるものではない、相手に
ぶつかっていくものだ」との言葉を残しています。
新撰組の稽古は常に実戦を意識したもので、例えば室内で向き合い
酒を飲んで談笑しているとき、相手がいきなり刀で斬りかかってくる
といった状況設定をして、その対応をはかるような稽古もおこなわれて
いたようです。
また彼らは稽古の際、竹刀や木刀を使わずに主に真剣を刃引きした刀を
用いたそうです。
近藤勇
刀で相手を斬るためには、当然ですが自分の刀が相手に届く位置まで
近づかねばなりません。
そして当然のことながら、こちらの刀が相手に届くということは、相手
の刀も自分に届くということです。
幕末の侍たちは真剣で斬りあう時の緊張感、恐怖感をどう感じたので
しょうか。
綱淵謙錠著「幕末風塵録」という本に、侍の斬りあいの目撃談が
あります。
こちらの話は現代人にもリアル感があり興味深いのでご紹介します。
慶応4年(1868年)の戊辰戦争。
現在の福島県白河で会津軍と新政府軍が戦ったとき、目撃者となる
人物は戦禍を逃れるため避難中でした。
その避難中、偶然に2人の侍の斬りあいを目撃することになります。
「1人は会津の侍、もう1人は新政府軍(官軍)の方でした。わしは
恐ろしくて、震えながら崖の上の木立の間からそうっと見ていました。
彼らはお互い名のりました。30歳前後の侍でした。刀を抜き合うと、
シャリーンと刀の先が触れ合いました。それと同時に後ろに2、3歩
退きました。退くと両人は狙い合うようにして動きません。
そしてまた2,3歩ズズッズズッと前へ進み出ると刀の先がシャリーン
と触れ合います。すると2人の侍はまた後ろに数歩後退しました。
2人の侍はおたがい真っ青になり、肩をいからし動きません。
2人の荒々しい息づかいが20メートルほど離れた私の耳元にも
聞こえてきます。
どのくらいの時間が過ぎていったのか夢中で見ていた私には
わかりませんが、またシャリーンという音を聞いた時にどちらかの侍が
叫び声をあげました。
再び刀を打ち合う音がしばらく続き、やがて地響きがするように
2人の侍が共倒れするのを見て、私は思わず目をふさぎました」
幕末史に残る数々の事変は、この極度の緊張と恐怖の中で侍たちにより
展開されたのでしょう。
お読み頂き有難うございます。今年度もよろしくお願い致します。
あけまして おめでとうございます。
本年もまた、興味深いお話の数々を楽しみにさせて
頂いています。よろしくお願い致します。
映画やドラマでは見ますが、本当に刀で切り合ったりした
のでしょうか・・・。
とてつもない恐怖でしたでしょうに、とても信じられません^^;)。
by 鍛冶屋 (2014-01-06 21:35)
鍛冶屋 さん
新年明けましておめでとうございます。
こちらこそどうぞ宜しくお願いします。
博物館に行って日本刀の実物を見ますと、
これで斬り合うのかと思いとゾッとしますよね。
美しいだけにより恐怖感もつのります。
by アナログ侍 (2014-01-06 23:14)
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
いつも楽しく拝見させてもらっています。
侍のリアルな息づかいを感じられる記録ですね。。。この文章を読むと、1対1の切り合いでは相打ちが多かったのかなと勝手に想像してしまいました。刀振り回して無傷や軽傷なんて、ドラマの中だけの話なんでしょうね。。。
by ys_oota (2014-01-07 01:35)
僕はキックボクシングをやっていますが、スパーリングで自分の拳が届く位置であれば 、相手の拳も届く間合いでもあります
蹴りも同様で、攻撃は被弾を覚悟しないとできませんが、恐怖心が技術を進歩させるんだと思います
真剣となれば、一撃が致命傷になるでしょうから、そんな稽古をしてきた新撰組は本当に猛者ばかりだったんですね
by suhr0045 (2014-01-07 05:47)
ys_ootaさん
明けましておめでとうございます。
今年度も宜しくお願いします。
桜田門外の変の話が有名なんですが、斬り合いの
現場あとには斬り合ったものたちの指が多く落ちていたそうです。
なかなか無傷ではすまなかったのかもしれませんね。
by アナログ侍 (2014-01-07 09:19)
suhr0045さん
コメント有難うございます。
キックボクシングも斬り合いもやはり間合いが一番大事なんですね。
真剣での斬り合いについては、いろいろな言葉が残っていますが、
一番多いのは、「相手の懐に飛び込んで斬れ」のようでした。新撰組は
実戦の剣を磨いたうえ、さらに基本、一人の相手を複数で攻めるので(当時の事情、新撰組の役割を考えると卑怯とは言えないでしょう)当時は相当に恐れられたと思います。
by アナログ侍 (2014-01-07 09:44)
刀が届く位置は切られてもおかしくない距離。
思っただけで怖い。
by 楽しく生きよう (2014-01-07 19:33)
終戦から間もない頃、繁華街の空き地で二人のやくざが真剣で喧嘩しているのを見ましたが、どちらも凍りついたように動きませんでした。
by Silvermac (2014-01-07 20:53)
楽しく生きよう さん
コメント有難うございます。
おっしゃる通り思っただけで恐ろしいです。
実際に日本刀を見た後に想像するとさらに怖いです。
by アナログ侍 (2014-01-07 21:46)
Silvermacさん
コメント有難うございます。
凄いものを目撃されましたね。
集団ならまだしも、1対1であればよけい動けなくなってしまいそうですよね。
by アナログ侍 (2014-01-07 21:52)
あけましておめでとうございます。
先日はお見舞いのコメントを頂いて、ありがとうございました。おかげさまでようやく回復できました。
斬り合いの状況、息をのむような緊迫感に圧倒されました。
by (た) (2014-01-08 23:11)
(た)さん、
明けましておめでとうございます!
ご回復良かったですね(^◇^)
ニュース情報とても便利に拝見させて頂いてます。
今後ともよろしくお願いします。
by アナログ侍 (2014-01-08 23:57)